エステルプラッテの民間信仰の世界観では、世界には悪しき夢（ホラー/Horror）という不可視の悪霊が跳梁している。悪しき夢は人に取り憑いて悪夢をもたらし、すべてを汚し、犯し、壊すためにだけ存在する忌まわしい存在である。
エステルプラッテでは素養のある少女を夢使い（ドリームマンサー/Dream mancer）として訓練し、悪しき夢を追い払わせる。呪い師のような存在に近い。
夢使いは名前の後に夢にちなんだサードネームを与えられる。スィートドリーム、ピースフルドリーム、フォールンドリームなどが有名。
特筆するべきはアヘンの処方が彼女たちに許されていることである。安眠をもたらすこの麻薬を吸引する習慣が、この国では産業革命後にも残っている。
アヘンは政府の専売制であり、高額な税金が課せられている。夢使いだけが取り扱いを許され、不法所持や栽培は厳しく取り締まられている。エステルプラッテは皮肉なことに最も薬物取締の厳しい国の一つである。
多民族国家の中でエステル人が他民族を押さえているのはこのアヘンの供給も一役買っていると言われる。
また文化的にも法律的にも、夢使いに対する暴力や窃盗、恐喝などは禁忌とされている。
夢使いは結婚することで引退することになる。
