シリーズの差違
ヴァンパイア:ザ・レクイエムはもともと新ワールド・オブ・ダークネス(nWoD)シリーズとして進められたが、マスカレードの復活によってクロニクル・オブ・ダークネス (CofD)シリーズとして改編された。両者はよく似ているが差別化の点がある。
世界設定の「成文化」vs「未定義」
マスカレードでは血族の創世神話を初めとしたキッチリとした設定が存在しており、それが人気の要因だった。
レクイエムでは神話や設定が曖昧であり、氏族や盟約がおのおの勝手な神話や歴史を唱えている。サプリメントにも「わざと矛盾していることを書いている。ストーリーテラーはどれを採用しても良い」などと設定自由度を高くするように作られている。
グローバルvsローカル
マスカレードでは世界を股にかけ、都市から都市に移動するような話も多くあった(そうだ)が、レクイエムでは初見の血族と遭遇すると低確率ながら狂乱の危機が発生する。これにより、都市の移動は忌避されるようになっている。
オールインワンvs基本セット+種族ブック
マスカレードでは、マスカレードの基本ブックが1冊あればプレイすることが可能だった。
レクイエムではます「ワールドオブダークネス」という基本セットを購入し、人間キャラクターを作成してから、「ヴァンパイア:ザ・レクイエム」を購入し、それを血族化する必要がある。つまり、プレイするには2冊必要ということである。
システムの差違
レクイエムには「世代」が存在しない
「血の強度」という数値がそれに相当するのだが、これは抱擁から50年経過するごとに1点上昇するというもの。
血の強度の高い血族が抱擁しても、その子は血の強度1からスタートする。
そして同族喰らいを犯さずとも、年齢とともに血の強度は成長していく(ただし、同族喰らいを犯すと成長速度は加速する)。
抱擁とグール化のコスト
抱擁すると意志力が永久に1点減る。失った意志力は経験点を消費して買い戻すしかない。
また、グールへの月に一度の血潮提供時には意志力を1点消費する。
これによりグールの数が制限される。
鏡面にぼけて映る
レクイエムの血族は全員、鏡や写真、ビデオカメラ、ガラスや水面などにぼやけて映り、個人識別ができない。
意志力を消費することでそのシーンだけ映ることができるが、時間が経つと写真や映像がぼやけ始める。
氏族の差違
マスカレードには13の氏族が存在したが、レクイエムでは5つの氏族しか存在しない。
ギャンレル、ノスフェラトゥ、ヴェントルーの3氏族と、ディーヴァ(淫魔の氏族)、メケト(影の氏族)の2氏族。
ケイティフは存在しない(親不明という用語としては残っているが、ルール的には氏族を選択する)。
マスカレーダーが一番面食らうのはここである。人気のマルカヴィアンやトレメールは残念ながら存在しない。
マスカレードの血族をレクイエムにコンバートすることは諦めるしかない。
しかし、キャラクターバリエーションが減ったとは単純には言えない。
マスカレードでは氏族の結束がかなり強かったが、レクイエムでは氏族以上の政治的・文化的な繋がりとして「盟約」という存在がある。
カマリリヤに相当し、マスカレードを維持する貴族階級である「インヴィクタス」。
血族によるカトリック組織「ランケア・サンクタム」。
叛徒に相当し、現代の技術や政治思想を取り入れる民主派組織「カルシアン運動」。
サバトに相当する(ただしプレイアブルにするためにサバトより幾分大人しい)「老魔女の環」と「オルド・ドラクル」。
これらの盟約は必ずしも対立しているわけではない。ストーリーテラーが用意する都市ごとに政治情勢は異なる。
所属する盟約が異なるからといって、アンチトライブ(反氏族)とは呼称しない。
5氏族×5盟約=25種類の基本バリエーションがあるということになる。