ヴァンパイア:ザ・レクイエムの宮廷と盟約の力関係って、一般的にはどうなっているの?
という疑問についての考察です。それでは早速見ていきましょう。
宮廷という概念の発祥
宮廷という概念自体はどこから来たかと言うと、それはレクイエムの前作、ヴァンパイア:ザ・マスカレードのカマリリヤから来ています。
マスカレードではPCは全員カマリリヤのメンバーです。カマリリヤ7氏族といって、氏族イコール政治的立場なのです。あなたがヴェントルー氏族であれば、あなたはカマリリヤです。あなたがラソンブラであれば、あなたはサバトです。
そしてカマリリヤでは7氏族のトップが参議になります。
レクイエム1e
マスカレードがサービス終了したのち、レクイエムの時代がやってきました。
レクイエムは新しい吸血鬼RPGを目指して作られました。
レクイエムにはカマリリヤは存在せず、代わりに「盟約」という概念が追加されました。
盟約と氏族は完全に別のものです。あなたがヴェントルー氏族であっても、インヴィクタス盟約に属してもいいし、カルシアン盟約に属しても良いのです。
マスカレードにおける公子は、その都市のカマリリヤのトップでした。敵対派閥であるサバトや独立勢力、アナークは、公子やカマリリヤの支配に服していません。
これをレクイエムに援用すると、公子は1盟約のトップであるに過ぎません。レクイエムには盟約は5つも存在します。都市の支配者とは言えないでしょう。
しかし、レクイエムの公子は盟約を超えて都市を支配しているように記述されています。
盟約を超えた支配者=公子
盟約を超えた統治機構=宮廷
です。
さらに、レクイエムの5盟約はマスカレードの派閥と違い、不倶戴天の敵というわけではなく、協調と対立を繰り返す存在です。
では公子や宮廷が存在するのであれば、盟約との関係はどのようなものなのでしょうか。
ニューオリンズ:ビタル政権
1eのルルブ巻末には、サンプル都市としてニューオリンズの設定が記載されています。
公子はアウグスト・ビタル。ニューオリンズ最初の公子です。ランケア・サンクタム盟約のボスでもあります。
彼は、ニューオリンズの都市黎明期に現れて公子の地位を主張し、逆らう吸血鬼を力でねじ伏せて地位を築きました。ここで注目するべきは、ランケア・サンクタムが盟約戦争をしかけてニューオリンズを征服したとは記載されていない点です。ビタルは自分個人のパワーにより公子の地位を勝ち取ったのです。
さて、ビタル公子と彼の宮廷は、ニューオリンズ全域を支配しているわけではありません。
ビタル公子と彼の宮廷の影響力が及ぶのは、ビタル公子と彼の宮廷の影響力が及ぶところまでです(進次郎構文)。
ニューオリンズには、アントワーヌ・サボアとバロン・シミテールという、ビタル公子に匹敵する有力者がいます。
彼らは彼ら独自の版図と支持者、そして宮廷を持っています(p290)。そこにはビタル公子の影響力は届きません。
さらに事態を複雑にしているものとして、ビタル公子とアントワーヌ・サボアの対立は、盟約間の対立ではないところにあります。二人はどちらもランケア・サンクタム盟約に所属しているのです。
そのため、ニューオリンズの吸血鬼たちは、盟約に対する忠誠のほかに、ビタル公子、アントワーヌ・サボア、バロン・シミテールの3人のいずれの派閥に忠誠を誓うかということを求められます(p287)。
インヴィクタスにもビタル公子派とアントワーヌ・サボア派がいるようです。
老魔女の輪、オルド・ドラクルはバロン・シミテール派のようです。
カルシアンはビタル公子派。
敷衍して考えると、ニューオリンズの盟約は抗争の主役ではありません。
3人の有力者の対立がメインストリームで、それぞれの盟約内で自分の支持を集めるようにしているようです。例えば、ビダル公子はカルシアンから参議を2名も登用しています。うち1名はカルシアンのボスです。
レクイエム2e
2eでは、マスカレードからの脱却がさらに進みました。
2eには、1eに記載されていた宮廷の役職についての記載はありません。
オールナイトソサエティという漠然とした社会の記述のみで、公子や宮廷についての記載がないのです。
宮廷が定義されていないので、宮廷と盟約の関係について記載は1文字もありません。